「世界に一つだけの桜」が二つになりそうだ。山形市野草園(山形市神尾(かんのう))が山形県白鷹町の桜の専門家に依頼して、15年前に新種として1本だけ見つかった「ミヤマカスミザクラ」の接ぎ木に成功。13日に白鷹の畑から園内に移植し、今後は根付くのを見守る。
ミヤマカスミザクラを接いだ台木は同日昼過ぎ、園内の日当たりの良い場所に植えられた。接ぎ木をした4月は高さ10センチ弱だったが、半年余りで約230センチに。白鷹の畑から持ち込んだ土をふるいにかけてまぶし、支柱や雪囲いも立てた。
接ぎ木からここまで育てたのが、桜の保存や育成を図る「日本さくらの会」(東京)で2005年からさくら専門委員を務める白鷹町の金田聖夫(さとお)さん(86)だ。樹木医の紹介で手がけることになった。「世界に1本と言われて最初は震えたけど、何とか伸びてここに植えることができてほっとした。根もたくさんあるし、長く生きると思う」
ミヤマカスミザクラは、付近に立つ桜2種の特徴を併せ持つ。5月初旬という開花時期や花びらの形はカスミザクラと似ているが、花のつき方などはミヤマザクラと似ている。植物分類上、カスミザクラはヤマザクラ節、ミヤマザクラはミヤマザクラ節で、節をまたぐ雑種は珍しいという。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル